Project #3
五反田の街に
新たな「聖地」を。
五反田JPビルディング
1982年の開業から30年以上にわたり、五反田の街のシンボルのひとつであった「旧ゆうぽうと」。老朽化に伴なう建て替えが完了し、2023年12月に大規模複合施設として竣工しました。まちづくりの観点から、どのように開発に取り組んでいるのか。プロジェクトメンバーに話を聞きました。※このページの内容は、取材当時の情報です。
大切な「聖地」の建て替えプロジェクト。
「ゆうぽうと」跡地とは、どのような場所だったのでしょうか。
権田五反田JPビルディングの建設予定地は、多目的ホールや宿泊・宴会・結婚式場などからなる「ゆうぽうと」という名の複合施設があった場所です。五反田の街の一部として多くの方々に親しまれてきた場所を、新たに建て替える。大きな意義のあるプロジェクトだと考えています。
川中みなさんが愛着を持っていた「ゆうぽうと」の跡地を任せてもらっているという責任は感じますね。特に「ゆうぽうとホール」は、「バレエの聖地」としても有名でした。建物の老朽化もあり2015年に営業を終了したのですが、「残してほしい」「早く建て替えて営業してほしい」と復活を望む声が地域の方から多く寄せられた。その声にも応えようと、新たな施設にも多目的ホールを設けています。
大野収益性を鑑みて、オフィスもある複合施設としたのが「ゆうぽうと」との大きな違いですね。ホテル部分の運営では星野リゾート様とタッグを組み、新しい試みができないかと目下企画中です。
川中オフィスで働く人がふだん使える飲食店があると使い勝手がいいでしょうし、ちょっとしたシェアオフィスがあったら便利になるでしょう。そういった利用者の方の細やかなニーズにも応えられるよう、多くの機能を併せ持つ施設を目指しています。
五反田という街そのもののブランディングへ。
まちづくりという観点では、どのように捉えていますか。
権田五反田にこれまでになかった大型のオフィスビルをつくる。つまり、五反田にオフィスを構えたいと思う企業を増やし、五反田という街そのものの価値を高めていく。ここは、私たちが力点をおいたポイントなんですよね。
川中そうですね。五反田という街に、例えば大手町のようなビジネス街のイメージを抱いている人はおそらくいないでしょう。しかしここ数年は「五反田バレー」と言った呼ばれ方をすることもあり、ITベンチャーが集まる街としても少しずつ知られるようになっています。今後ここから急成長する企業もたくさん出てくるのではないでしょうか。
大野五反田は、実は公共交通機関のアクセスのいい街であり、賃料平均も比較的安い。企業がオフィスを構えるには適した場所なんですよね。
川中おそらく多くの人にとって、五反田には、これといった明確なイメージがないのではないでしょうか。なんとなく飲食店が多そうで、なんとなく歓楽街がある、といったイメージ。本当はたくさんの魅力がある街なので、そういった部分にもっとスポットを当てて、五反田の知られざる魅力を、今回のプロジェクトを通じてより明確に打ち出していきたいと考えています。
大野実は昔から住んでいる人が多く、住みやすい街。実は、海外の雑誌で取り上げられるような名物飲食店のある街。先程の、実はITベンチャーが集まっている、という点もあまり知られていない魅力のひとつですよね。
川中そうそう。これまで伝わっていなかった魅力を、新たに発見したいし、多くの人に広めていきたい。「五反田のこと知らなかったなぁ!」「五反田、けっこういい街だね!」なんて、言われる街になってほしいと思っています。五反田にこれから訪れる、まだよく知らない人はもちろんのこと、五反田に住む人や五反田で働く人にも。五反田という街に、より誇りを持ってもらえるのが理想。五反田という街自体のブランディングに寄与できたらと考えています。
新たな「聖地」の誕生を目指して。
本プロジェクトに、どのような思いで取り組んでいますか。
大野長年この場所で商売をしている方や生まれたときから住んでいる方が、五反田にはたくさんいます。五反田という街を、地元の皆さんはすごく愛しているし、だからこそ新しい施設の竣工を待ち望んでいるんですよね。「早く街の灯を取り戻してほしい」なんて、激励されることもあるんです。そういった地元の方の声を聞くとモチベーションが上がりますし、プロジェクトを成功させるだけでなく、五反田地域の活性化にも必ず貢献したいと強く思います。
川中「お、五反田変わったな」なんて印象を持ってもらえたら嬉しいです。その旗印となるような物件だと考えています。「旧ゆうぽうと」が地元の方からも親しまれてきたように、この施設もまた地元の方から愛される場所にしていきたい。そして、新たに「五反田バレーの聖地」として知られるような施設へと育てていくことが私の目標です。
権田そうやって街のシンボルをつくる、ひいては街そのものをつくるのが、私たちの仕事なのだと思います。明治時代から続く郵便事業という社会インフラをルーツに持っていることが、私たちのDNAのなかにある。社会のため、地域のために何ができるか、という視点はいつも大切にしたいと思っています。五反田という街の中で、本プロジェクトが果たす役割は何か。常に最善策を考えながら、街の活性化と建物運営が一体となって盛り上がっている姿を実現したいです。そうすることで地域の発展と、不動産開発によるグループへの収益貢献とが、win-winの関係になることを目指したいと思っています。